一話 焼いた餅と海苔
路地裏の食堂に入ったミヌは店内を見渡しメニューを探すがメニューが見当たらない。食べたい物を言っていいと言われ、答えたのは「一番安いもの」。ミヌの注文に頷き、厨房に向かったマスターは、ミヌにたくさんのおかずを出すのだった。
出演者
チェ・ジェソン、ナム・テヒョン(WINNER)
バイトをしながら高卒認定試験の合格を目指す客・ミヌの出身地・大川(テチョン)の海苔を、コンロでひと炙りし、腰のある細長い餅(トック)に巻くこの食べ方。日本では、餅と海苔の組み合わせはポピュラーだが、韓国では焼いた餅に水飴をつけて食べることが多いため、この食べ方を知らない人も多いようだ。
二話 ソバ粉焼き
雨だというのにサングラスをかけた女性が入ってくる。注文はソバ粉焼き。サングラスをかけたまま黙って食べる彼女。入れ違いに店に入ってきた記者がその女性は昔、大人気だった女優のチョン・ウンスだと気づいて…。
出演者
シム・ヘジン、チャ・ドゥリ
フライパンに油をひき、ソバ粉の生地を流しいれ、そこに古漬けのキムチやネギを乗せて焼くシンプルなソバ粉のチヂミ(お好み焼き)。薄くてチヂミにしては軽い。韓国では、チヂミを焼くときのパチパチという音が雨が降っているときの音に似ているため、雨の日になると、チヂミが食べたくなると言われている。
三話 ビビン、ヨルム、チャンチ麺
ビビン麺好きと、ヨルム(大根菜)麺好き、そしてチャンチ (にゅうめん) 麺好き。彼女たちは独身の“麺食い3人娘”だ。高校からの友達が今でも仲がいいのは3人とも恋人がいないから? でもある日チェヒという男性が現れて…。
出演者
パン・ミンジョン、ソン・ファリョン、チャン・ヒジョン、カンドゥ
深夜食堂に来る三人娘がいつも頼むピピン麺、ヨルム麺、チャンチ麺。ピピン麺は、日本でも知られる韓国の冷麺で、牛からとった冷たいスープとコチュジャンで食べる。ヨルム麺は、大根の葉っぱの入った麺、チャンチ麺は、日本で言うところのにゅう麺にあたる。チャンチとはお祝いを意味し、祝いの席でも食べられる。
四話 オキシジミ汁
昔は売れっ子マジシャンだったヨンシクだが、今は地方やナイトクラブの舞台に立っている。娘のセッピョルを連れてこず、彼1人で来る時は決まってオキシジミ汁を注文するのだが、それは彼がひどく落ち込んでいる時に頼むメニューなのだった。
出演者
チ・ジニ、カン・ジウ、チェ・ウンギョン
オキシジミは、形はシジミに似ているが、シジミよりも大きい。オキシジミ汁は、さっぱりしていてピリ辛な味付けなので酒が進む。具材のオキシジミは、そのまま食べても、唐辛子酢味噌や生ワサビにつけたり醤油をかけて食べるのもよいとされている。本作では、このオキシジミ汁を使ってパスタにアレンジもされていた。
五話 ハンバーグ定食
食堂からの帰りに倒れて病院へ運ばれたヨンシクを気遣って、最近マスターはヨンシクの酒を水で薄めるようにしていた。そんな彼の元に別れた妻が娘を引き取りたいと訪ねてくる。ヨンシクはオキシジミ汁を飲みながら、ある決心をする。
出演者
チ・ジニ、カン・ジウ、チェ・ウンギョン
以前ヨンシクが、娘のセッピョルの大好物のハンバーグを一緒に食べたかった、と話していたことを思い出したマスター。そこで母親と再び食堂を訪れたセッピョルに、お子様ランチのハンバーグ定食をふるまう。まるで父親ヨンシクからの贈り物のように。セッピョルは大喜び。父親の愛情が託された一品。
六話 豚カルビのキムチ煮
「食事とデザートは別腹だ」と主張する常連で漫画家のユミ。ぽっちゃり体形の彼女は15年ほど前では自分の描く漫画の主人公のようにスリムだったとか。深夜食堂で幸せそうに食事を楽しむ彼女にある悲しい出来事が起こり…。
出演者
パク・ジュンミョン、キム・ジヒ、トッコ・ヨンジェ
文字通り豚カルビをキムチで煮た料理。豚肉は骨付きのブロック肉を使っている。本作でこの料理が大好物なユミは、切っていない白菜キムチの長い葉っぱで豚カルビをくるんで食べている。日本ではあまりポピュラーではないが、韓国では、この濃い味付けで、ごはんが進む料理としても有名である。
七話 参鶏湯(サムゲタン)
カフェの社長ソンギュンは店員のヘリと結婚の約束をしているが21歳も離れているため、ヘリの親から猛反対を受ける。そしてヘリの父親は娘から携帯電話を没収、自宅に軟禁してしまう。それでも2人は諦めず、絆を深め、いくつもの季節が過ぎて…。
出演者
オ・ジホ、ナム・ジヒョン
日本でもポピュラーな参鶏湯だが、土用の丑の日によく食べられるものだとうことはあまり知られていない。参鶏湯はナツメや高麗人参、ニンニク、栗、もち米などを詰めて煮込む料理だ。そのため、栄養豊富で滋養強壮に効くと考えられ、熱い夏を乗り切るために丑の日に食べられるようになったのだという。
八話 バターライス
ある日、グルメ評論家が来店するが常連たちは彼の偉そうな話しぶりが気に食わない。同じ日、流しの歌手が久しぶりに来店し、必ず注文するバターライスを食べると、その評論家もバターライスを注文するのだった。それには深い理由があって…。
出演者
イ・ヨンボム、イ・ヨンハ
バターライスというと、バターで炊き込んだピラフのようなものを想像するが、本作のバターライスはシンプルだ。炊き立ての白ご飯にひとかけらのバターを乗せ、お箸でご飯の中にもぐりこませて30秒松待つ。そして醤油を少したらして食べる。シンプルだけど巧いごはんといえば、日本なら卵かけごはんだろうか。
九話 韓国風ハンバーグ
ボクサーのヨンニョンは、デビューしてから10年目になり、自分の進退に迷う日々を過ごしている。そんなある日、彼に2つのチャンスが一気に巡ってきた。新人王戦と、心ときめく恋。彼はその両方をつかむことはできるだろうか?
出演者
チョ・ドンヒョク、カン・イェソル
プロボクサーの客が勝ったときに注文するのが、粗びきカルビ焼きだ。深夜食堂のマスターは、裏庭で炭火をおこしてカルビのハンバーグのようなものを焼いてくれる。ちなみにこのボクサーが負けたときに食べるのは、武橋洞 (ムギョドン)式の辛いタコ炒めということになっている。
十話 麦クルビ
キムの釣りに付き合って貯水池にやってきたミヌは1人の女性を見かけるが、キムは誰も見なかったと言い張り、ミヌが幽霊を見たのでは?と食堂で騒ぎになる+A1:E21その日から同じ夢にうなされ続けたミヌは、もう一度 貯水池に向かう。
出演者
ハン・ボベ、ナム・テヒョン、チョン・ハンホン
韓国ではチョギと呼ばれる魚(日本ではイシモチ)を、塩漬けにした後、天日干しにして、そのあとに麦の上で熟成して作る麦クルビ。韓国では高級食材として知られ、お茶漬けなどにして食べることも多い。本作のセリフにもあったように、夏バテで食欲をなくした人でも食欲を回復させる味とも言われている。
十一話 甘辛チキンチャーハン
甘辛チキンのタレで作ったチャーハンが大好物のクァンジョは芸能事務所の熱血マネージャーだ。献身的に働いているものの、会社からはお荷物扱いされている。ある時 ソンピルと再会し、一念発起して独立し、事務所を立ち上げたのだが…。
出演者
チョ・ジェユン、ホン・ウォンビン、ペ・ジョンナム
韓国のいたるところにフライドチキン屋があり、近年には日本にも進出している。中でも韓国ならではなのが、甘辛いソースを絡めたヤンニョムチキン。撮影現場にファンやタレントが差し入れることも多いという。本作では、そのヤンニョムチキンを少し焦がして、チャーハンやオムライスにアレンジしている。
十二話 紅スモモ
蒸し暑いある夜、突然 停電になった食堂。マスターが赤いスモモとビールで涼んでいると黒い服の女性が来店する。スモモの赤に白い八重歯が印象的な彼女は、付き合う男性がみんな死んでしまうという悲しい運命を持つ女性だった。
出演者
ソウ
紅スモモは、プラムとしても知られる果物。韓国ではポピュラーで道端の露店などでも旬になると売っている。本作では、停電のある日、熱い体を冷やそうと熟したスモモでビールを飲むマスターの前に、謎めいてはいるけれど、美しい一人の女性が現れ、真っ赤なスモモをかじるところから物語がスタートする。
十三話 ツブ貝の缶詰
ツブ貝の缶詰を深夜食堂に持ち込んだヘジン。マスターはヘジンの注文でおいしそうな乙支路(ウルチロ)風のツブ貝の和え物とツブ貝の麺を作る。料理を食べていた彼女は、近くに座っていた男性が同じ小学校出身のヒョンソンだと気づいて…。
出演者
キム・ジョンフン、チョン・ソミン
韓国では、缶詰として売られているツブ貝。韓国語ではコルベンイという。本作では、乙支路(ウルチロ)風のツブ貝和えと、ツブ貝の缶詰の汁をいかした麺の料理が登場するが、この和え物は、酒の肴として人気がある。劇中のように、濃い味の和え物をそうめんと一緒に食べるのはポピュラーな食べ方のひとつ。
十四話 ジャガイモの大学芋と丸ごとイカのトッポッキ
ある夜、2人の男性が言い争いながら一緒に店に入ってきた。1人は有名なポルノ映画の監督で、もう1人は弟子入りを熱心に懇願する青年だった。ソン監督はジャガイモで作った大学芋を注文するのだが、それには彼のある思いが詰まっていた。
出演者
キム・ジョンテ、パク・ジョンピョ
日本でも作られる大学芋は、韓国にも存在し、コグマタンと呼ばれる。作り方はさまざまで、味付けに醤油が入っていたり、ピリ辛で甘いものもあったりする。本作では、その大学芋の芋を、サツマイモではなく、ジャガイモに変えてつくっているが、これも家庭によって違う味のアレンジのひとつだ。
十五話 ジャガイモ団子入りワカメスープ
旅行ガイドのジヨンは初来店の日、ジャガイモ団子入りのワカメスープを注文したのだが食べる直前に気分が悪くなり、店を飛び出していった。その後はすっかり常連になったジヨンはマスターとユミにワカメスープへの思いを打ち明けるのだった。
出演者
ナム・ボラ、ソン・ビョンスク
韓国では誕生日にワカメスープを食べるのが習わしだ。もともとは、産後の母親が栄養分をとるために食べられていたワカメスープを、誕生日にも食べることで、母の気持ちを知るという意味合いがあると言われている。本作のダンゴスープは手間もかかるため、より母親の気持ちが染みる味になっているようだ。
十六話 オイスターソース マヨラーメン
漫画家ユミの担当編集者テスが新入社員のミンギョンを連れて来店する。ミンギョンはフュージョン料理をマスターに注文し、新人ながらユミの心をつかむのだった。優しく指導するテスにミンギョンは思いを募らせるが、テスには彼女がいて…。
出演者
ナム・ギュリ、イ・シオン
オイスターソースマヨラーメンは、深夜食堂に来た客の提案したもので、インスタントラーメンの麺に、ゆで汁、粉末の調味料を少々とオイスターソースを絡めて炒め、マヨネーズと青唐辛子をかけたもの。このように、自由な発想で作るフュージョン料理は、韓国ではもはや定着しつつある。
十七話 トルティーヤの半月ピザ
近所のピザ店の店長が挨拶に訪れ、常連客にピザを振る舞っていたところ、ドンスの上司がイタリア以外ではピザを食べないと言い放ち、トルティーヤを注文する。その日以来、食堂と常連客に対して悪質なネットの書き込みが見つかり…。
出演者
イ・ギウ、チェ・ジョンフン(カメオ出演アン・ジェウク)
韓国でもピザチェーン店は大人気だ。客のリクエストでイタリアのトルティーヤを作ることになったマスター。生地にトマトソースを塗り、ひき肉、ピーマン、チーズをのせ、それを半月型に折り、縁にはちみつを塗ってチーズが流れないようにフォークで押さえ、オーブントースターで焼いて客に出す。
十八話 焼きカレイ
食堂の周辺に不審者が現れ、常連たちは不安に思っていたがその男は刑事でリュの親友、チョルミンだと分かる。2人の思い出の味である焼いた干しカレイを食べながらチョルミンはリュにあることを懇願するが、リュはそれを拒み続けて…。
出演者
チェ・ジェソン、キム・レハ、イ・ヨンス
常連客とその友人の刑事がやってきて、思い出の味である焼きカレイをオーダーされたマスターは、カレイを網ではさみ、炭火で焼いて出す。マスターは、二人の思い出の味である、砂糖そうめんとジャコもふるまう。このそうめんは、だし汁として砂糖水をかけたもので、全羅道(チョルラド)の珍味だ。
十九話 肉の煮つけと石焼きビビンバ
終電を逃すと食堂で夜を明かす無名歌手ダヨンは食堂にあった楽器が縁で楽器店のジンソンと知り合い、バンドを組んで路上ライブをしていた。ある日、大手の事務所から声をかけられたのだが契約条件について2人の意見が食い違う。
出演者
ユンナ、ジェイ
時間のかかる料理がほしいとオーダーされたマスターは、豚の血を抜き、ゆで、それを割いてしょうゆと水あめで、ゆでておいたうずらの卵とともに煮つける。常備菜にもなるため、大量に作ることも多い食べ物だ。マスターはこれに加え煮つけの汁を凍らせたものとともに石焼きビビンバもふるまうのだった。
二十話 秋コノシロのパーティー
魚の骨を取るのが苦手なチェリ。ある日、彼女は食堂で箸使いの上手なミョンベクと出会い、やがて付き合い始める。順調なはずだったがミョンベクが嫉妬から、チェリの店の客に暴力を振るってしまったことで2人はすれ違ってしまい…。
出演者
カン・ソヨン、ペク・ポンギ(カメオ出演キム・ジュノ、ホン・ソクチョン)
コノシロとは、寿司の光物、コハダとしても知られる魚で、韓国ではジョノと呼ばれる。日本では寿司以外で食べることの少ないコノシロだが、韓国では、日本におけるさんまのように、秋になると食べたい魚として有名である。ドラマの最後に出てきたのも、秋の旬をみんなが楽しみにしていたからなのだ。