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リー・ミラーが写し出す写真には、人間が持つ脆さと残酷さの両方が刻みこまれ、今もなお人々を惹きつける重要な歴史的記録として真実を伝えている。
「VOGUE」誌をはじめトップモデルとして華やかで自由な生活を謳歌し、マン・レイ、パブロ・ピカソ、ココ・シャネル、ジャン・コクトー、コンデ・ナストら時の天才たちを魅了。類稀なる輝きは報道写真家に転身してからも光りを放ち、第二次世界大戦が始まるとその情熱とエネルギーは戦場へ向けられる。彼女はいかにして従軍記者になったのか、戦争の前線で目撃した真実、人生をかけて遺したものとは──。
彼女の生き方に大きく感銘したケイト・ウィンスレットが製作総指揮・主演で贈る、リー・ミラーの偉大で情熱的で数奇な運命が遂に映画化!

STORY

「傷にはいろいろある。見える傷だけじゃない」
1938年フランス、リー・ミラー(ケイト・ウィンスレット)は、芸術家や詩人の親友たち──ソランジュ・ダヤン(マリオン・コティヤール)やヌーシュ・エリュアール(ノエミ・メルラン)らと休暇を過ごしている時に芸術家でアートディーラーのローランド・ペンローズ(アレクサンダー・スカルスガルド)と出会い、瞬く間に恋に落ちる。だが、ほどなく第二次世界大戦の脅威が迫り、一夜にして日常生活のすべてが一変する。写真家としての仕事を得たリーは、アメリカ「LIFE」誌のフォトジャーナリスト兼編集者のデイヴィッド・シャーマン(アンディ・サムバーグ)と出会い、チームを組む。1945年従軍記者兼写真家としてブーヘンヴァルト強制収容所やダッハウ強制収容所など次々とスクープを掴み、ヒトラーが自死した日、ミュンヘンにあるヒトラーのアパートの浴室で戦争の終わりを伝える。だが、それらの光景は、リー自身の心にも深く焼きつき、戦後も長きに渡り彼女を苦しめることとなる。

CAST

リー・ミラー (Lee Miller)
英国版『VOGUE』誌の記者として第二次世界大戦中のヨーロッパを取材した、アメリカの先駆的な従軍記者兼写真家。彼女は歳を重ねるごとに、自分のことをモデルや男性アーティストたちのミューズとして覚えてほしくないと思った。彼女は当時の女性に対する期待やルールに逆らい、戦争の最前線から事実を報じるため、ヨーロッパへ渡る。そこでリーは、自身の秘めてきたトラウマを映し出すかのように、ナチス政権の残虐な行いを世に伝えるべく、ローライフレックスカメラで写真を撮った。彼女は、ダッハウ強制収容所を始め、ヨーロッパ各地で衝撃的で恐ろしい光景をフィルムに収めた。戦争とその犠牲者や影響を捉えた彼女の写真は、第二次世界大戦において最も意義深く、歴史的にも重要なものとして残り続けている。彼女はその後の戦争写真のあり方を永遠に変えた一方、凄惨なものを見たこと、そしてその物語を伝えることに多大な労力を費やしたことにより、精神的に大きな犠牲を払うことになる。
ケイト・ウィンスレット (Kate Winslet)
1975年、イギリス・バークシャー出身。両親ともに舞台俳優の演劇一家で育つ。11歳でCM出演、17歳で映画『乙女の祈り』(1994)で映画デビュー。その翌年には『いつか晴れた日に』(1995)でアカデミー助演女優賞にノミネート、英国アカデミー賞で助演女優賞を受賞する。1997年の映画『タイタニック』でヒロインのローズ役を演じ国際的スターとなりアカデミー賞ノミネート。その後も『アイリス』(2001)、『エターナル・サンシャイン』(2004)、『リトル・チルドレン』(2006)などでアカデミー賞ノミネートされ、2009年の『愛を読むひと』で念願のアカデミー主演女優賞を受賞。実力派女優としての評価を確立する。7度のアカデミー賞ノミネートを含め数々の賞を受賞し、2012年には大英帝国勲章を授与された。ほか主な映画作品は、『ホリデイ』(2006)、『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』(2008)、『コンテイジョン』(2011)、『とらわれて夏』(2013)、『スティーブ・ジョブズ』(2015)、『女と男の観覧車』(2017)、『アンモナイトの目覚め』(2020)など多数。
デイヴィッド・E・シャーマン (David E.Scherman)
アメリカのフォトジャーナリスト兼編集者。ユダヤ人の両親の元マンハッタンに生まれ、ニューヨークで育つ。1936年にダートマス大学を卒業し、『LIFE』誌のカメラマンとなる。彼は第二次世界大戦を取材する中でリー・ミラーに出会い、彼女とチームを組み、数々の仕事をした。二人は生涯の友人となる。二人が生み出した最もアイコニックな写真は、ヒトラーとエヴァ・ブラウンがベルリンの地下壕で自殺した夜に、ヒトラーのミュンヘン宅の浴室で撮ったセルフポートレートであり、それは今日においても、20世紀で最もアイコニックな写真の一つとなっている。戦後、シャーマンは『LIFE』誌の編集者となり、同誌で最も長く勤務したスタッフとなった。
アンディ・サムバーグ (Andy Samberg)
1978年、アメリカ・カリフォルニア州バークレー出身。コメディアン、俳優、声優、歌手、製作者として幅広く活躍する。2001年に幼なじみのヨーマ・タコンヌ、アキバ・シェイファーとコメディトリオ「ザ・ロンリー・アイランド」を結成し、人気コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」にレギュラー出演(2005年〜2012年)。2007年に映画『ホット・ロッド めざせ!不死身のスタントマン』で俳優デビュー。TVコメディドラマ「ブルックリン・ナイン-ナイン」(2013〜2021)で主演をつとめゴールデングローブ賞最優秀主演男優賞を受賞。ほか主な映画作品は、『セレステ∞ジェシー』(2012)、『俺たちポップスター』(2016)など。製作と主演を兼ねたロマンチック・コメディ映画『パーム・スプリングス』(2020)でゴールデングローブ賞にノミネート。声優として、『モンスター・ホテル』シリーズや『くもりときどきミートボール』シリーズなどのアニメ映画に出演している。
ローランド・ペンローズ (Roland Penrose)
イギリス人の芸術家、歴史学者、詩人、伝記作者。彼は近代美術の有力なプロモーター兼収集家で、シュルレアリストのメンバーでもあり、自身も優れた芸術家だった。第二次世界大戦勃発の2年前にリー・ミラーと出会い、恋に落ちる。その後二人は結婚。彼はリーが従軍記者になることを応援しており、二人が出会って以降の彼女の人生における大きな転機には必ず彼女を支えた。戦時中は自身の芸術の技術を活用して迷彩柄を教えていた。
アレクサンダー・スカルスガルド (Alexander Skarsgård)
1976年、スウェーデン・ストックホルム出身。国際的俳優ステラン・スカルスガルドの長男。3人の弟も俳優として活躍する芸能一家。7歳から子役として活動を始め、学業と兵役を経てイギリスとアメリカで演技を学ぶ。スウェーデンの多くの作品に出演し、ベン・スティラー監督・主演の映画『ズーランダー』(2001)に出演。その後、アメリカのTVミニシリーズ「ジェネレーション・キル」(2008)で評価を上げ、TVシリーズ「トゥルーブラッド」(2008〜2014)では1000歳のバイキング・ヴァンパイア、エリック・ノースマン役に抜擢されブレイクする。2017年のTVミニシリーズ「ビッグ・リトル・ライズ」でゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞。主な映画作品は、『メランコリア』(2011)、『バトルシップ』(2012)、『メイジーの瞳』(2012)、『ターザン:REBORN』(2016)、『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』(2018)、『ゴジラvsコング』(2021)、『ノースマン 導かれし復讐者』(2022)、『インフィニティ・プール』(2024)など。
ソランジュ・ダヤン (Solange D’Ayen)
結婚して侯爵夫人となった。仏版『VOGUE』誌や『House & Garden』誌の編集者であり、シュルレアリストのメンバー兼支援者で、リー・ミラーとは非常に親しい友人である。レジスタンス集団のメンバーで、第6代アヤン公爵でありフランス・レジスタンス集団のメンバーでもあるジャンと結婚。ジャンは、1942年1月22日にゲシュタポに逮捕され拷問を受け、パリのゲシュタポ本部に収容された。その後、いくつかの強制収容所に移送され、最終的にベルゲン・ベルゼン強制収容所に移送されたが、収容所が解放される前日に死去。
マリオン・コティヤール (Marion Cotillard)
1975年、フランス・パリ出身。舞台俳優の両親の影響を受け、幼少期から舞台に立ち、オルレアンの演劇学校で演劇を学び、『そして僕は恋をする』や『TAXi』シリーズに出演して知名度を上げる。2003年にティム・バートン監督の『ビッグ・フィッシュ』でハリウッドデビューを果たし、2004年にジャン=ピエール・ジュネ監督の『ロング・エンゲージメント』でセザール賞助演女優賞を受賞。代表作となったフランス映画『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(2007)ではエディット・ピアフ役を演じ、セザール賞主演女優賞、ゴールデングローブ賞主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)、アカデミー賞主演女優賞を受賞し、国際的な名声を確立する。ほか主な映画作品は、『NINE』(2009)、『インセプション』(2010)、『君と歩く世界』(2012)、『ダークナイト ライジング』(2012)、『エヴァの告白』(2013)、『サンドラの週末』(2014)、『アネット』(2021)など。フランス映画からハリウッド映画まで広く活躍する。2020年にはシャネルNo.5の新たなミューズに選ばれた。
ジャーナリスト
1977年、イギリスのファーリー・ファームで、70歳のリー・ミラーに当時の様子を取材する若手ジャーナリスト。
ジョシュ・オコナー (Josh O’Connor)
1990年、イングランド・チェルトナム出身。ブリストル・オールド・ヴィック演劇学校を卒業後、映画やTVドラマでキャリアをスタートさせる。主演をつとめた映画『ゴッズ・オウン・カントリー』(2017)で英国インディペンデント映画賞の主演男優賞を受賞。BIFA賞の主演男優賞、英国アカデミー賞のブレイクスルーブリット賞など多くの賞にノミネートされる。Netflixドラマシリーズ「ザ・クラウン」ではチャールズ皇太子役を演じ、ゴールデン・グローブ賞テレビ部門とプライムタイム・エミー賞の主演男優賞を獲得。主演作『墓泥棒と失われた女神』(2024)は、『幸福なラザロ』を観て感銘を受けたオコナー自身がロルヴァケル監督作品への出演を熱望し主演となった。ほか主な映画作品は、『幸せの答え合わせ』(2021)、『帰らない日曜日』(2022)、『チャレンジャーズ』(2024)など。クリステン・スチュワート、エル・ファニングら共演予定の『Rosebushpruning』の撮影が控えている。俳優だけでなく、ブルガリやロエベなどハイブランドのモデルや写真家としても活動する。
オードリー・ウィザーズ (Audrey Withers)
エリザベス・オードリー・ウィザーズOBEは、オードリー・ウィザーズとして知られるイギリス人ジャーナリストで、産業デザイン協議会の会員でもあった。1940年から1960年の期間は英国版『VOGUE』誌で編集を担当した。1940年9月に編集者になったが、同じ月にザ・ブリッツ(ロンドン大空襲)が始まった。ナチス軍がヨーロッパ全土に進軍する中、ウィザーズは『VOGUE』誌を女性読者が軍事活動に参加するための手引書に作り変えた。『VOGUE』誌の奨励により、女性たちは軍需工場での労働、ラジオや交換機の操作、赤十字の看護師としてのボランティア活動、ロンドンの救急車の運転、緊急時の野外炊事場の運営などをするようになる。ウィザーズは自身の伝記に次のように記している。「戦禍の中、戦争についての報道が必要とされた中で、リー・ミラーはまさにそのために創造された人なのかもしれない」
アンドレア・ライズボロー (Andrea Riseborough)
1981年、イギリス・ニューカッスル出身。王立演劇学校で演技を学び、名門ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに所属し演技を磨く。マイク・リー監督のオファーで映画『ハッピー・ゴー・ラッキー』(2008)に出演、本格的な映画デビューを飾る。その後、『わたしを離さないで』(2010)や『ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』(2011)などのイギリス映画で活躍。2013年のトム・クルーズ主演作『オブリビオン』でハリウッドデビューを果たす。アカデミー賞作品賞をはじめ数々の賞を受賞した『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)では主人公の恋人役を演じた。主演と製作総指揮を兼ねた『To Leslie トゥ・レスリー』(2023)ではアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。ほか主な出演作は、『ノクターナル・アニマルズ』(2016)、『スターリンの葬送狂騒曲』『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017)、『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』(2018)、『ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷』『ポゼッサー』(2020)など。
ヌーシュ・エリュアール (Nusch Éluard)
フランス人パフォーマー、モデル、シュルレアリストの芸術家。リー・ミラーの友人で、夫はポール・エリュアール。ヌーシュは第二次世界大戦中のナチス占領下のフランスでレジタンスのために働く。1946年にパリで脳卒中により死去。
ノエミ・メルラン (Noemie Merlant)
1988年、フランス・パリ出身。モデルとしてキャリアをスタートさせた後、パリのクール・フローラン演劇学校で学び、2011年から本格的に俳優としてのキャリアをスタートさせる。マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督作『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』(2014)に出演後、同監督の『ヘヴン・ウィル・ウェイト』(2016)で主演をつとめ、セザール賞の有望若手女優賞にノミネート。セリーヌ・シアマ監督の『燃ゆる女の肖像』(2019)での演技が絶賛され、セザール賞とヨーロッパ映画賞にノミネート、実力派国際俳優として注目を集める。1974年の大ヒット作『エマニエル夫人』を現代版にリメイクした『エマニュエル』(2025)では主演をつとめ、主人公の脆さと強さを体現した。俳優としての活動にとどまらず、2017年以降は映画監督として2作の短編映画を発表している。ほか主な出演作は、『恋する遊園地』『不実な女と官能詩人』『英雄は嘘がお好き』(2019)、『パリ13区』(2022)、『TAR ター』(2023)など。

STAFF

製作:
エレン・クラス (『エターナル・サンシャイン』、『コーヒー&シガレッツ』)
プロデューサー:
ケイト・ウィンスレット、ケイト・ソロモン
製作:
トロイ・ラム、アンドリュー・メイソン、マリー・サヴァレ、ローレン・ハンツ
製作総指揮:
ジュリア・スチュアート、ローラ・グランジ、フィノラ・ドワイヤー、トーステン・シュー マッハー、ビリー・マリガン、ジェイソン・デュアン、クリスティーン・ジャン、レム・ド ブス、リズ・ハンナ、ジョン・コリー、クレア・ハードウィック
脚本:
リズ・ハンナ、マリオン・ヒューム、ジョン・コリー
美術:
ジェマ・ジャクソン (『アラジン』、『ジェントルメン』)
キャスティング・ディレクター:
ルーシー・ビーヴァン、オリヴィア・グラント
衣装:
マイケル・オコナー (『アンモナイトの目覚め』、『ある公爵夫人の生涯』)
ヘアメイク:
イヴァナ・プリモラック (『愛を読むひと』、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』、 『つぐない』)
音楽:
アレクサンドル・デスプラ (『シェイプ・オブ・ウォーター』、『グランド・ブダペスト・ホテル』)
編集:
ミッケル・E・G・ニルソン