少女が顔を石で殴られて殺されるという残酷な殺人事件が起きる。殺人容疑で逮捕されたのは、遺体の第一発見者である母親だった。無実を訴えるも無期懲役で投獄された彼女は、9年後、完璧な計画の末に脱獄を成功させるが、かつて彼女を逮捕した刑事ハン・テギュの執拗な追跡に追い詰められる。数か月後、彼女は静かな町で推理小説家のマ・ジウォン(ミス・マ)として生活していた。そんな中、平和だった町で恐ろしい事件が起きる。ミス・マは自分と同じようにぬれぎぬを着せられ苦しむ人々のため、優れた推理力で事件を次々と解決するのだが…。
阿部純子 (日本クリスティファンクラブ)
一番の見どころは、何といっても“世界一大胆なミス・マープル像“でしょう。トレードマークの毛糸の編み物と庭でのお茶は原作を引き継いでいますが、ストーリーが大きく改変され、次々に怪しい人物が出てきて、原作を知っていても、先の展開が読めません。『復讐の女神』をベースに、他のマープル物4作品をサイド・ストーリーとして挿入したユニークな構成は、さながらマープル全集を読むような感じがします。
小説家 神永学 (「心霊探偵八雲」シリーズ著者)
アガサ・クリスティの創造した原作の世界観に縛られることなく、斬新な発想によって新たな魅力が加わり、リ・イマジネーションされた。知性を刺激する本格推理であり、手に汗握るサスペンスであり、心揺さぶる人間ドラマでもある。「復讐の女神」は、全てが凝縮されたエンターテイメント作品だ。