CG ⼀切なしの⾃然をどのようにとらえたのか︖
壮⼤なロケーション撮影秘話・新場⾯写真解禁︕
世界の映画祭で注目の異才・金子雅和監督最新作
川を、時を、さかのぼっていく——
3月22日よりユーロスペース他にて公開
この度、壮⼤なロケーションで⾏われた撮影秘話と新場⾯写真を解禁!
先⽇受賞を果たしたポルト国際映画祭でも⾼く評価されたロケーションやそこで⽣きる⼈間の息遣い。
そこには究極に美しいものにこだわる監督やスタッフ陣の強い想い、キャスト陣の柔軟さがあった。

<ロケーションと撮影>
岐⾩県ですべての撮影が⾏われたが、岐⾩は数々の⾃然ロケを⾏ってきた⾦⼦監督にとって初挑戦の地。ほぼ⼟地勘が無い中、まずは撮影の約 1 年半前、原作となった松⽥悠⼋⽒の⼩説「⻑良川 スタンドバイミー1950」の舞台である岐⾩市を流れる⻑良川周囲を訪れたという。以後、⻑良川の河⼝から源流・分⽔嶺まで約125kmをたどり、⽩川郷、⾼⼭などにも⾜を伸ばし、さらには⻑良川本流だけでなく⽀流域まで眼差しの対象を広げていき、⼟地の空気や歴史性を体感するシナハンを繰り返した。同時にその場に根付く⺠話などを調べ上げ、その過程で、12 万体の⽊仏を彫ると祈念し⽇本中を旅した仏師・円空の逸話、⽊地屋と地元⺠の交流を描いたと思われる椀貸伝説といった⺠間伝承が、⼤きなインスパイア元となったという。「監督の世界観へ⾃由に⾶躍させて下さい」と期待する松⽥⽒の声に応えて私⼩説である原作から⼤幅に物語を⾁付けし、特に少年・ユウチャが⾒る紙芝居の中の世界(お葉と朔の悲恋)は完全なオリジナル脚本として作り上げた。
岐⾩県内、郡上市、⼭県市、美濃市、下呂市、⾼⼭市が全ロケ地となったが、⾦⼦監督は約 4 週間、朝から⽇没までロケハンを⾏い、実際に撮影をしたロケ地の 3 倍以上の箇所・範囲を巡ったという。
ここからクランクインに向けて、本作のもうひとりの主⼈公と⾔っていい川=⽔辺の透明感や、⽊地屋たちが⼩屋掛けする広葉樹林の緑の深さにこだわり、実際の撮影条件・スケジュールも合わせ場所を絞り込んでいった。それらロケ地はどこも⼭深い場所。眼の前まで⾞で乗り付けられるわけもなく、⾞を⽌めてからさらに撮影隊は機材を抱え、時には数⼗分の⼭道を歩いたり、膝まで⽔に浸かりながら沢を渡って滝の裏側の撮影現場にたどり着く。平坦な場所はほぼない。⾦⼦監督⽈く、その⼟地・その場所の空気を体感した上で役として存在することをキャストたちに求めたという。そうして厳選された⾃然の中で紡がれる CG ⼀切なしの物語は、華村あすか演じるお葉が⼊⽔する⻘い淵のシーンを筆頭に、世界中の⼈を惹きつける格別の美しさを持ってスクリーンに現れる。


<こだわりの“⼿仕事”が映画に与えたリアリティ>
撮影にあたり、葵揚や渡辺哲らが演じる“⼭の⺠”が仮住まいして⽊の器を作る⽊地屋⼩屋が建てられた。器作りに適した⽊を求めて全国各地の⼭を移動する⽊地屋が好む広葉樹林帯が広がるのは標⾼約 800m、携帯の電波も⼊らない場所だが、まさに映画世界の⽀えとなるシーンであるため、『Shall we ダンス︖』『幻の光』『あん』など数多くの作品を⼿掛けてきた美術監督の部⾕京⼦⽒と地元林業関係者により、その場に⾃⽣する⽊や笹を⽣かした⼩屋が完成した。当時の⼩屋の建て⽅を研究しながら⾏ったこの作業には、8⽉の猛暑の⼭中、約 3 週間が費やされた。さらに映画にリアリティをもたらしたのは⽊の器。原⽊を伐り、斧で荒型を切り出し、ろくろでお椀の形に整えていく。映画内では過去に⽊地屋が⾏った実作業が忠実に再現されているが、ここにも⼿仕事にこだわる職⼈たちを岐⾩、および近県から⾦⼦監督が呼び集めた。東近江の特殊伐採のプロ、⾶騨の古き⼯法を再現できる杣⼤⼯、美濃で⽊⼯の活動を普及するNPO 理事といった、⽊のスペシャリストたちだ。機械ではなく、⾃分たちの⼿で削り出していく器は美しく、時代設定へはもちろんのこと、⾥の娘の恋のきっかけにも⼗分な説得⼒を持って物語の質感を増している。


CG⼀切なしの圧倒的なロケーションの中で紡がれる伝承と解放の物語
⾼度経済成⻑の始まった1958 年。
⼤きな川の上流、⼭間の集落で暮らす少年ユウチャ。⽗は林業に従事し、⺟は病に臥せていて、⽼いた祖⺟と暮らしている。まだ⾃然豊かな⼟地ではあるが、森林伐採の影響もあるのか、家族は年々深刻化していく台⾵による洪⽔の被害に脅かされている。
夏休みの終わり、集落に紙芝居屋がやってきて⼦どもたちを集める。その演⽬は、⼟地にずっと伝わる⾥の娘・お葉と⼭の⺠である⽊地屋の⻘年・朔の悲恋。叶わぬ想いに打ちひしがれたお葉は⼭奥の淵に⼊⽔、それからというもの彼⼥の涙が溢れかえるように数⼗年に⼀度、恐ろしい洪⽔が起きるという。紙芝居の物語との不思議なシンクロを体験したユウチャは、現実でも家族を脅かす洪⽔を防ぎ、さらには哀しみに囚われたままのお葉の魂を解放したいと願い、古くからの⾔い伝えに従って川をさかのぼり、⼭奥の淵へ向かう・・・
▽作品情報
『光る川』
華村あすか 葵揚
有⼭実俊 / ⾜⽴智充 ⼭⽥キヌヲ/ 髙橋雄祐 松岡⿓平
堀部圭亮 根岸季⾐ 渡辺 哲
安⽥ 顕
脚本・監督︓⾦⼦雅和
⾳楽︓⾼⽊正勝 共同脚本︓吉村元希 美術監督︓部⾕京⼦ 撮影︓⼭⽥達也 ⾳響︓⻩永昌 OP アニメーション︓⾼橋昂
也
原作︓松⽥悠⼋(「⻑良川 スタンドバイミー⼀九五〇」より)
製作︓⻑良川スタンドバイミーの会 制作プロダクション︓プロジェクト ドーン
配給︓カルチュア・パブリッシャーズ
公式サイト︓culture-pub.jp/hikarukawa/ 公式X︓@re_river_movie
(C)⻑良川スタンドバイミーの会
助成︓ ⽂化庁⽂化芸術振興費補助⾦(映画創造活動⽀援事業) 独⽴⾏政法⼈⽇本芸術⽂化振興会
【2024年/⽇本/カラー/1.85︓1/5.1ch /DCP/108分】
2025年3⽉22日(土) ユーロスペース他全国順次公開