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野村万作 野村萬斎 野村祐基 三藤なつ葉 深田博治 高野和憲

『六つの顔』

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650年以上にわたり、生きとし生ける者の喜怒哀楽を表現し、人々の心を魅了し続けてきた「狂言」。その第一人者であり、94歳の今もなお現役で舞台に立ち続ける人間国宝の狂言師・野村万作は、2023年に文化勲章を受章した。映画『六つの顔』では、受章記念公演が行われた特別な1日に寄り添いながら、万作の歩んできた軌跡と現在の姿を浮かびあがらせる。また、ライフワークとして取り組み、磨き上げてきた夫婦愛を描く珠玉の狂言「川上」を物語の舞台である奈良・川上村の荘厳な原風景とあわせて贅沢に収録。万作が長年追求してきた世界観をその至芸とともにスクリーンに刻む。さらには、90年を超える芸歴のなかで先達たちから受け取り繋いできた想いや、今なお高みを目指して芸を追求し続ける万作の言葉を収めたインタビューも交え、息子・野村萬斎や孫・野村裕基をはじめとする次世代の狂言師と共に舞台に立つ模様を臨場感溢れる映像で映し出す。

監督は『ジョゼと虎と魚たち』、『のぼうの城』などを手掛け、田中泯を追ったドキュメンタリー『名付けようのない踊り』でも高い評価を受ける犬童一心。また、万作が過去を振り返るなかで心に浮かぶ「六つの顔」を『頭山』で米アカデミー賞®︎にノミネートされた山村浩二がアニメーションで表現。ナレーションを俳優のオダギリジョーが務めるなど日本映画界を代表する製作陣が集結。監修は野村万作、野村萬斎が手掛けた。 モノクロームで映し出される「現在」、アニメーションで紡がれる「過去」、そしてカラーで立ち現れる狂言「川上」の研ぎ澄まされた美しさ。豊かな映像表現で織りなす、至高のドキュメンタリー映画が誕生した。
狂言とは
「狂言」は、約650年の歴史を持つ日本の伝統芸能。2008年にユネスコ無形文化遺産に登録され、海外からも高く評価されている。「能」と同じく日本で最も古い演劇のひとつで、舞台装置や照明がない専用の「能舞台」で演じられる。「狂言師」という専門の役者が、自分の声や身体を駆使して、いろいろな物事がまるでそこにあるかのように演じるのが特徴で、「素手の芸」ともいわれる。そのため狂言師は、声であれば、しゃべる・語る・謡う、動きであれば、パントマイムのような動き・様式的な舞・アクロバットのような曲芸など、非常に豊かな表現の技術を「型」として身につける。狂言に登場する人物は、身近ににいそうな人ばかり。日常的な事柄を題材に、人間だれしもが身に覚えのありそうな心の動きや関係を、大らかで洗練された笑いとともに表現する。なかには、猿・狐・狸や鬼、蚊の精や茸までもが人間と同じように活躍する話もあり、観ていると、生きとし生けるものへの愛着がちょっぴり増す。生きていることがなんだか楽しくなってくる。それが狂言の魅力。
狂言「川上」
盲目の男が、願いを叶えてくれるという「川上」の地蔵に参詣し、その甲斐あって視力を得る。 しかし、男の夢に現れた地蔵は視力と引き換えに「妻と離別せよ」という過酷なお告げを残していたのだった。 視力か、尽くしてくれた妻か――、男は究極の選択を迫られる。和泉流のみに伝承されるこの演目は、笑いを本旨とする狂言においてはシリアスな異色作。夫婦愛と宿命を深く問う物語は、現代に通じるテーマをはらむ。
出演
野村万作
出演・監修
1931年6月22日生まれ。重要無形文化財各個指定保持者(人間国宝)、文化功労者。日本芸術院会員。23年文化勲章を受章。祖父・故初世野村萬斎及び父・故六世野村万蔵に師事。3歳で初舞台。早稲田大学文学部卒業。「万作の会」主宰。軽妙洒脱かつ緻密な表現のなかに深い情感を湛える、品格ある芸は、狂言の一つの頂点を感じさせる。国内外で狂言普及に貢献。ハワイ大・ワシントン大では客員教授を務める。狂言の秘曲『釣狐』で芸術祭大賞を受賞のほか、観世寿夫記念法政大学能楽賞、紀伊國屋演劇賞、日本芸術院賞、坪内逍遥大賞、朝日賞、ニューヨーク・ジャパンソサエティ賞、NHK放送文化賞等受賞多数。早稲田大学芸術功労者、練馬区名誉区民。『月に憑かれたピエロ』『子午線の祀り』『法螺侍』『敦―山月記・名人伝―』『楢山節考』等、狂言師として新たな試みにもしばしば取り組み、現在に至る狂言隆盛の礎を築く。後進の指導にも尽力。著書に『太郎冠者を生きる』(白水社uブックス)、『狂言を生きる』(朝日出版社)等。練馬文化センター名誉館長。
コメント
狂言『川上』は、盲目の夫とその妻の物語。狂言は単なる笑いだけの芸能ではないと若い頃から考えていた私が、25歳の初演以来繰返し、大切に取り組んできた演目です。芸歴90年を超えた私がいま演じる『川上』を、現在はもとより未来の観客にも観て頂きたいという思いでこのたびの映画化を思い立ちました。狂言の笑いの質は美しい「型」によって支えられています。狂言は美しくあらねばならない、と長年思ってきましたので、犬童一心監督の狂言への愛によって、映画のスクリーンがとても美しいものに仕上がったことを有難く思っております。ぜひ劇場でご鑑賞いただければ幸甚に存じます。
野村萬斎
出演・監修
1966年4月5日生まれ。祖父・故六世野村万蔵及び父・野村万作に師事。重要無形文化財総合指定者。3歳で初舞台。東京芸術大学音楽学部卒業。「狂言ござる乃座」主宰。国内外で多数の狂言・能公演に出演する一方、現代劇や映画・テレビドラマの主演、『敦―山月記・名人伝―』『マクベス』『子午線の祀り』「能 狂言『鬼滅の刃』」『ハムレット』、全国共同制作オペラ・喜歌劇『こうもり』はじめ古典の技法を駆使した作品の演出など、現在の日本の文化芸術を牽引するトップランナーのひとりとして幅広く活躍。現代に生きる狂言師として、あらゆる活動を通し狂言の在り方を問うている。94年に文化庁芸術家在外研修制度により渡英。芸術祭新人賞・優秀賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞、朝日舞台芸術賞、紀伊國屋演劇賞、毎日芸術賞千田是也賞、観世寿夫記念法政大学能楽賞、松尾芸能大賞、坪内逍遥大賞等受賞多数。石川県立音楽堂アーティスティック・クリエイティブ・ディレクター、東京芸術大学・日本大学芸術学部客員教授。(公社)全国公立文化施設協会会長。
コメント
『川上』という狂言屈指の名曲を、映画の手法で映像に収めると同時に、父・野村万作という狂言師の人生にも踏み込んだ映画が完成しました。父と、『川上』の盲目の男の生き様に、何かオーバーラップするものを感じて頂けるのではないでしょうか。古典芸能・狂言を伝える一家に育った我々は、「いま」という瞬間を、点ではなく、伝統という線の中で生きています。ただ、それは我々ばかりのことではありません。この映画を通して、人間誰しも広く歴史を受継ぐ存在であり、より良い未来のために生きていく、その中でかつ自分個人の生を全うする、という大きな生き様を感じ取って頂ければ幸いです。
野村裕基
出演
1999年10月9日生まれ。野村萬斎の長男。祖父・野村万作及び父に師事。慶応義塾大学法学部卒業。能楽協会会員。2025年より「イデア狂言」を主宰。3歳の時に『靱猿』子猿役で初舞台。初舞台の稽古から本番に至るまでの姿は、NHKのドキュメンタリー番組にも取りあげられた。以来、国内外を問わず多数の舞台に出演。『三番叟』『奈須与市語』『釣狐』を既に披く。狂言師として伝統芸術の骨格を守りつつ狂言の魅力を探求し、舞台『ハムレット』(野村萬斎演出)や能 狂言『鬼滅の刃』等、新たな試みでも活躍する。21年WOWOW開局30周年記念・連続ドラマW『ソロモンの偽証』でドラマ初出演。Netflix制作のアニメーション映画『ブライト:サムライソウル』では主人公・イゾウの声を務めた。朝日カルチャーセンター狂言クラス、早稲田大学・東京大学・成城大学の狂言サークルを指導。
コメント
祖父・万作は今や数少ない、日本が戦争をしていた時代の記憶をきちんと持っている人で、その後ずっと狂言師として活動し、94歳になろうとする今も現役で舞台に立ち、さらに芸を高めようとしています。映画『六つの顔』を通して、自分と同じ若い世代の方にも、様々な人の様々な人生の中の一つとして、こんな人もいるのだな、と祖父の生き様をご覧いただけたらと思います。激動の時代を生き抜いてきた人の生き様に、昔を踏まえた上で、今をどのように生きるべきか、という解が込められた映画だと感じました。
スタッフ
犬童一心
監督・脚本
1960年生まれ。高校時代より自主映画の監督・製作を始める。大学卒業後は、CM演出家として数々の広告賞を受賞。1997年『二人が喋ってる。』で長編映画監督デビュー。『眉山 -びざん-』(07)、『ゼロの焦点』(09)、野村萬斎主演『のぼうの城』(12)で、日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞する。主な監督作は、『ジョゼと虎と魚たち』(03)、『メゾン・ド・ヒミコ』(05)、『グーグーだって猫である』(08)、『猫は抱くもの』(18)、『引っ越し大名!』(19)、『最高の人生の見つけ方』(19)、ドキュメンタリー映画『名付けようのない踊り』(22)など。
コメント
萬斎さん主演『のぼうの城』を監督した縁で能楽堂に誘われ、気づけばそこは最も好きな場所の一つとなり15年通い続けている。そしてその間最も繰り返し見て、楽しみ、考えさせられた人が「野村万作」だった。そのどんなに不埒で笑いに満ちた物語でも、常に美しく、一歩引きながらも観客の目線と気持ちを掴み続けるそのあり方、すでに93歳ながら伝わってくるふつふつとした生命力、その謎、核を映像を通して感じてもらえたらと思った。『川上』へのこだわりについてうかがったとき、今演じるのであれば「仏の教えに、夫婦の愛が克った」そこを伝えたいとおっしゃった。人間を信じることが今こそ必要だという大きなテーマを抱えて挑戦しようとされているのだ。93歳にしてまだまだ続く芸と世界への希求にとても感動した。17歳から作り続けてきた映画、今回万作先生から私の映画を監督してもらえないかという提案は、最高の名誉、ご褒美だった。
山村浩二
題字・アニメーション
1964年生まれ。90年代「パクシ」「バベルの本」など子供向けアニメーションを制作。「頭山」(02) が第75回アカデミー賞にノミネート。アヌシー、ザグレプ他6つのグランプリを受賞し、「今世紀100年の100作品」の1本に選出される。「カフカ 田舎医者」 (07年) がオタワ他7つのグランプリを受賞する等、アニメーション作品の受賞は100を超える。世界4大アニメーション映画祭すべてでグランプリを受賞した唯一の監督で、2021年には過去25年間の優れた世界の短編監督25人のトップ2に選出された。川喜多賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞、紫綬褒章受章歴を持つ。東京藝術大学教授。犬童一心監督とは『名付けようのない踊り』(22)に続くタッグとなる。
上野耕路
音楽
1960年生まれ。ニューウェーヴバンド"ゲルニカ"での作曲・編曲で注目を浴び、その後も自身のユニットや映画音楽などで活躍。『ラストエンペラー』(88)など、坂本龍一の映画音楽プロジェクト等を経て、映画・ドラマ音楽を精力的に制作。映画音楽では、犬童一心監督『ゼロの焦点』(09)、『のぼうの城』(12)で日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。その後も、『最高の人生の見つけ方』(19)、『名付けようのない踊り』(22)、『ハウ』(22)など犬童監督の数多くの作品で音楽を担当。その他の代表作に、毎日映画コンクール音楽賞を受賞した『ウンタマギルー』(89)、『へルタースケルター』(12)などで映画音楽を手掛ける。日本大学芸術学部映画学科非常勤講師。
オダギリジョー
ナレーション
1976年生まれ。アメリカと日本で演技を学び、2003年、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された『アカルイミライ』で映画初主演を果たす。以降、『メゾン・ド・ヒミコ』(05)や『ゆれる』(06)など、作家性や芸術性を重視した作品選びで唯一無二のスタイルを確立。『悲夢』(09)、『宵闇真珠』(18)、『サタデー・フィクション』(23)などにも出演し、海外の映画人からの信頼も厚い。初長編監督作『ある船頭の話』(19)は、第76回ヴェネツィア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門に日本映画史上初めて選出。7月4日公開「夏の砂の上」では主演・共同プロデューサーを務める。脚本・演出・出演・編集をこなしたNHKドラマ「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」はカルト的な人気を博し、東京ドラマアウォード2022単発ドラマ部門でグランプリを受賞し、9月26日には映画『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』の公開が決定。ほか『兄を持ち運べるサイズに』が11月28日公開予定。