17歳と24歳の青年の、初めての、そして生涯忘れられない恋の痛みと喜びを描いた映画『君の名前で僕を呼んで』。
主人公エリオを演じたティモシー・シャラメ、相手役オリヴァーを演じたアーミー・ハマーの魅力、イタリア出身のルカ・グァダニーノ監督の繊細な演出で日本でも大ヒットを記録しました。今なおファンに愛されているこのまばゆい傑作の日本公開5周年を記念したイベントが1月27日(金)に開幕しました。イベントは、第1部「朗読劇 君の名前で僕を呼んで」と第2部「映画スペシャルトーク」の2部構成。
初回公演の前に行われたゲネプロ(総通し舞台稽古)の様子を写真とともにお伝えします。
朗読劇の舞台装置は、映画で主人公エリオの一家の北イタリアの別荘にあるプールからイメージされ、エリオ役の醍醐虎汰朗とオリヴァー役の阿部顕嵐が登場すると、そのプールサイドに腰をかける。
バックには、ピアノ、ヴァイオリン&マンドリン、ギターの生バンド。真冬の東京に北イタリアの初夏をよみがえらせた美術や照明が、主演ふたりの存在感を際立たせ、高い評価を受けた映画音楽にインスパイアされた美しいオリジナル楽曲の生演奏が、さらに臨場感をもって観客を包み込む。
終盤の雪の演出など、あらゆる場面に、大ヒット朗読劇『私の頭の中の消しゴム』で知られる名手・岡本貴也の演出が光る。
エリオ役の醍醐虎汰朗は、すでに映画『天気の子』で主人公・森嶋帆高を演じ、第十四回「声優アワード」新人男優賞を受賞するなど声の仕事でも定評があるが、朗読劇は今回が初めて。
オリヴァー役の阿部顕嵐も映画やテレビだけでなく舞台でも活躍しているが、朗読劇は初めて。
一体どんな舞台になるのか、ファンならずとも期待が高かったが、ふたりの化学反応はまさにマジックだった。青年同士の恋を声で演じるという高いハードルを、
キラキラと輝くような瑞々しさで越え、感情が飛翔していくようなふたりの演技には、ゲネプロを鑑賞したマスコミや関係者からも拍手があがった。
また、映画には多くの映画ファンが忘れられない名シーンとして、エリオとエリオの父親役の場面があるが、その父親の名台詞を阿部顕嵐が朗読することも明らかになった。
イベントではさらに、第2部として映画ライターのよしひろまさみちを司会に、朗読劇を終えたばかりの醍醐虎汰朗・阿部顕嵐を迎えての「映画スペシャルトーク」も。
ゲネプロでは、阿部顕嵐が、今日初めて観客の前で演じた気持ちを「また1段階上のステージに上がったような気持ち。
観客の前でこそ完成する作品なんだと感じました」と語り、一方、醍醐虎汰朗はラストシーンでの渦巻く感情がまだ消えない様子で、
「まだ役を引きずってしまっていて……。まだ(話すのが)きついです」と言葉を詰まらせると、
すかさず、阿部が「本番(のトーク)では僕がサポートするよ」と声をかけ、
今後の公演がさらに楽しみになるふたりのコラボレーションに、いっそう大きな拍手が贈られた。
映画版は映画版で素晴らしいけれど、これ以上ないキャスティングでの朗読劇。
ぜひ生の舞台での『君の名前で僕を呼んで』を経験してほしい。
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