PLANNING TIPS TCPに応募しよう!TCP式映画企画の作り方

※一部、記事公開当時(2017年)の募集形式に沿った内容がございますのでご注意ください。

映画の企画ってどうやって作っているの?
興味はあるけど、
何から始めれば良いのかわからない!
そんな声にお応えして、未経験者が
実際の企画作りにチャレンジ!!
その工程での”悩み”や”手法”を公開していきます!!
さらに、過去の受賞者やプロデューサーのインタビュー
など普段は聞けない、
企画作りの”考え方”や”裏話”も公開!!
5つのSTEPで、企画作りの”ヒント”が見えてくるかも…?

STEP1 TCPについて知ろう

【プロフィール】
名前:遠山 大輔
所属:カルチュア・エンタテインメント株式会社 TCP事務局

遠山

TCP事務局の遠山です!
事務局では、作品の募集から選考、実際の映画製作までTCPに関わる全てを運営しています。

今回は、過去2回のTCPで得られた経験を活かし映画制作未経験者にもわかりやすい”映画企画の作り方”をお伝えできればと思います。

正直、映画の作り方に正解はないですが、この特集を通じて「私も挑戦してみよう!」と思える方が増え、より沢山の企画で映画業界が盛り上がるキッカケになれば…と思っています。

それでは、企画作りにチャレンジしてもらうTSUTAYAの社員をご紹介します!!

【プロフィール】
名前:小玉 真梨
映画制作経験:なし

小玉

今回、映画の企画作りにチャレンジする小玉真梨です!!

映画が大好きでTSUTAYAに入社したんですがまさか自分で映画の企画を作ることになるとは思っていませんでした(笑)
映画制作の経験はないですが、全力でがんばりたいと思います!!

遠山さん!よろしくお願いします!
早速なんですが、TCPについて詳しく教えていただけないでしょうか?

遠山

小玉さんは、入社したてで私とも部署が違うのでTCPに馴染みがないですもんね。
それでは、まず始めにコンセプトムービーを見てもらいましょうか。

言葉で説明するより、イメージが掴めると思いますよ。

TSUTAYA CREATORS' PROGRAMコンセプトムービー

遠山

現在、TSUTAYAには毎日のように映画ファンのお客様が来店されますが、そんな映画を愛するお客様にもっと新しい感動やワクワクする作品をお届けしたいという思いから生まれたのがTSUTAYA CREATORS’ PROGRAMなんですよ。

企画書について

小玉

遠山さんは、応募された企画書も読んでいるんですか?

遠山

応募いただいた企画書は全部読んでいます。
2015年と2016年で800以上の企画書に目を通しましたね。

企画書のクオリティ

遠山

現役で活躍されているプロの企画書は整理されていて見やすいですね。
プロ以外の方にも応募いただいてますが、”コンセプト”や”面白さ”が伝わりきらずに選考で落ちてしまっている企画があるのも事実です。

小玉

話の面白さではプロも素人も変わらない?
企画書の書き方がわかれば、素人でもプロと戦えるんでしょうか??

遠山

プロは企画書を書き慣れているからね、”コツ”がわかれば素人でもプロと互角に勝負ができるかも。
映画関係者からは、新鮮な発想の作品が見たいね、という話を聞くこともありますよ。

応募者について

小玉

そうなんですね!ハードルが高いかな、と思っていましたが、少しやる気が出てきました(笑)
どんな方が応募しているんですか?

過去の応募データ

遠山

男性で30代の方からの応募が多いですが、高校生から70代まで幅広い方々から応募してもらっています。
主婦や学生の方からの応募もありますね。
続いて、応募者の志望動機も少しご紹介しましょう。

志望動機

  • 映像化できれば、間違いなく名作たりうると自信がある企画を考えたから
  • 映画監督になりたいから
  • 今まで短編作品しか撮ったことがなく、長編作品を撮りたいから
  • 製作費の5,000万円以上のバックアップと、全国のTSUTAYAでプロモーションをされるという点に惹かれたから
  • TCPにはメジャーの間口の広さ、インディーズの自由さがあるから
  • 映画業界で有名なプロデューサーが最終審査員にいたから
  • TSUTAYAが好きだから

小玉

面白いですね!
「映画監督になりたい!」っていう、すごく真剣な方もいれば「TSUTAYAが好きだから」とか「有名なプロデューサーが審査員にいるから」とか、気軽な志望動機の方もいるんですね。
私もミーハーなタイプなので、少し安心しました(笑)

遠山

そう、あまり気負う必要もないんですよ。
”気軽に”でも”真剣に”応募して欲しいですね!
とは言え、何から手をつけていいかわからないですよね(笑)
実際にTCPに応募してみましょうか?

小玉

ありがとうございますっ!!

CHECK POINT

① 初心者でも大歓迎!あなたの企画をカタチにしよう
② プロじゃなくても戦える!企画書の作り方を理解しよう

STEP2 企画のテーマをみつけよう

遠山

TCPの応募では「WEBエントリー」と「企画書」の提出が必須になります。
”A4用紙10枚以内”と自由度の高い企画書ですが基本的には、WEBエントリーの項目を活用すると、企画書が作りやすいと思います。
今回は、企画書のフォーマットを用意したのでゼロからスタートする場合は、活用してみてください!

小玉

ダウンロードしました!
早速なんですが、どこから手をつけたらいいのでしょうか…?

遠山

はじめは、”企画のタネ”作りからですね。
世に出ている映画作品は、どうやってストーリーができていると思いますか?

小玉

そうですねぇ
やっぱり、人里離れた旅館に缶詰になって、悩み苦しみ絞り出すように…

遠山

プロはそれで良いとしても、話を書いたことのない素人には難しい方法ですね(笑)

社会問題を扱ったり、夢の世界のようなファンタジーだったり映画は作者の”思い”が強く現れるので、頭で考えるイメージが強いかもしれませんが普段生活していて、面白かったり、ふと気になったりしたことそんなことから映画を作る方法もあるんですよ。

実際に、過去のTCP受賞者にも、そのやり方で映画を作った人がいました。
紹介するから、詳しく話を聞いてみるといいですよ。

小玉

おぉ!受賞者から直接話を聞けることになるなんて!
これはラッキー(笑)




小玉

遠山さんが受賞者を紹介してくれたから、早速、話を聞きに行ってみよう!
「実は10年間も温めた企画なんですよ~」とか言われたらどうしよう-(汗)
あ、あのお二人だ!

2015年準グランプリ「Filmarks賞」
片桐健滋さん(左)と梅本竜矢さん(右)

TCPに応募されたきっかけは?

片桐

『ルームロンダリング』のアイディアを下北沢の居酒屋で彼(梅本さん)に話したら後日、彼が「企画をTCPに出しておいたよ」と(笑)

梅本

お姉ちゃんが勝手に弟をアイドルのオーディション応募に出すみたいな感じで(笑)

TCPに応募されたきっかけは?

梅本

そうですね。彼の企画をパッと聞いた時に「それだよ!」って感じで。
彼のアイディアにはすごくキャッチーなものを感じたんです。

そうですね。彼の企画をパッと聞いた時に「それだよ!」って感じで。 結局、その飲み会では企画についてずっと話してました。

片桐

呑みながら、もう一番最初のプロットの話を始めてましたね(笑)

小玉

おぉ、すごい!なんだかワクワクしてきますね(笑)
自分でもやってみようと思います!!

3日後の夜…

小玉

片桐さんと梅本さんのインタビューにもあったように普段、友達と話をしているノリで、企画を考えてみよう!
ということで、会社の同期で友人の岩瀬君を呼び出しました(笑)

岩瀬

「お茶でもしよう」って言うから、来てみれば…ま、とりあえず乾杯しますか!…カンパーイ!!

小玉

え!?カフェで乾杯!?(笑)

岩瀬

そういえばさ、先週こんな面白いことがあってさ!

小玉

(おっ!これは早速、企画のタネが…?笑)




小玉が書いたメモ帳

小玉

まだまだざっくりだけど、面白くなりそうなテーマがいくつか出てきた!
話しながらだとアイディアも膨らむし、順調なんじゃないの!?

CHECK POINT

① キッカケは身近な話題からでOK
② ひとりで考えるより、友達や家族と会話をして話を広げてみよう

小玉の感想レポート

同世代の友人と飲みの場で雑談するだけで「自分たちが好きな映画ってどんなジャンルやテーマ?」とか「同世代の人共通のちょっとした疑問や悩みを映画のテーマにしたら面白いんじゃない?じゃあそれって何?」とどんどん面白いテーマが出てきました! 映画のタネって意外と身近なところにあるんだなと実感しました! 話す相手を別の世代だとか仕事をしている人にすると、また別のタネを発見できそうです!

STEP3 テーマを要約してみよう

小玉

よし、アイディアもたくさんあるし早速、企画書に書き出してみよう




小玉

書けない…小説を読むのは好きだし、ストーリーは簡単にかけると思ってたけど…どうやって書いていいかわからない。。
(遠山さんに相談してみよう…)

遠山

アイディアは出ましたか?

小玉

はい、片桐さんと梅本さんのやり方をマネしてみました!!
このアイディアや思いは、「テーマ」と「企画意図」、「訴求ポイント」にまとめればいいんですかね?
(メモを見せながら)

遠山

そうそう、順調ですね。
次はログラインを作ってみるといいですよ。

小玉

ログライン…なんだか難しそうですね。

遠山

ログラインは、物語を端的に説明したものですよ。
「どんな映画?」と聞かれた時に、すぐに答えられる程度の長さで映画の企画作りの柱になるものです。

説明するより、いくつか例題を出しましょう。
次のログラインは何の映画かわかるかな?

『惨めな生活を送る少年が魔法学校に入学し、悪から世界を守るために奮闘する』

小玉

ハリー・ポッター!!

遠山

正解!
じゃあこれはわかるかな?

『ある田舎町に暮らす三人の少年が街の英雄になろうと死体探しの旅に出る』

小玉

スタンド・バイ・ミー!!
簡単ですね(笑)

遠山

良い映画は、ログラインでもしっかりと良さが伝わると言われてるんですよ。
とは言っても、私より過去の受賞者の話を聞けたほうが実用的な考えが聞けるかもしれませんね。

小玉

ありがとうございます!!

2015年準グランプリ「Green Funding賞」
金井純一さん

小玉

お忙しいところ、お時間いただきありがとうございます! 唐突ですが、ログラインって大事なんでしょうか?

金井

本当に唐突ですね(笑)
ログラインは、言ってしまえば”物語の要約”ですが僕は、「本当に良い物語は、3行で伝わる」と考えています。
長々と説明しないといけない物語は、意図が伝わらないですからね。

TCPの最終審査でも、物語の”軸”を理解してもらうためログラインを投影しましたよ。

最終審査会の様子

小玉

書き方のコツはあるんですか?
金井さん流のやり方とかがあれば、是非教えてください!

金井

一番大事にしているのは「テーマを意識する」ということです。
そこがふらふらしていると、何が伝えたいのかわからなくなり全体のストーリーも一貫性がなくなってしまいますね。

あとは1回書いて満足しないことです。
人に見せて、しっかり内容が伝わるか面白そう、と興味を持ってもらえるか聞いてみることをオススメしますよ。
自分もTCP応募の時は、色々な人に見せて意見をもらいました。

小玉

なるほど。
確かに「テーマ→ログライン→あらすじ」と一貫性がある内容になっているしログラインだけ見ても、興味がそそられるなー。




遠山さんにもらったFMTに、小玉が書いてみた

小玉

書けたぞ~!
これも岩瀬君に見せてみよう…

小玉

こないだの話、ログラインにしてみたんだけどどうかな?

岩瀬

わかるっちゃわかるけど、フツーの話になってない?(笑)
俺が面白いって思ったのは、AがBな状況なのにCしちゃった!ってとこなんだよ!

小玉

あ、そっかそっか!
同じ話をイメージしていても、ログラインにすると受け取る印象が全然違うのね!
岩瀬君に見てもらってよかった~(笑)

CHECK POINT

① テーマを元に、ログラインを作ろう!(一貫性のある流れ)
② ログラインは簡潔にまとめる!長すぎても短すぎてもいけない。

小玉の感想レポート

テーマを考えていたときに思いついた物語を整理してみることで、ログラインを作ることができました!
これからエピソードを盛り込んでいけば、あらすじも書けそうかも!

STEP4 物語を膨らませてみよう

小玉

よし、ログラインも書けたしこの勢いであらすじもさくっと書いちゃおう!




小玉

書けない…しかも、応募要項には「企画書はA4用紙10枚以内」ってあるけどどれくらいかけばいいんだろう…

遠山

お、結構進んでますね!
でも、ここからが本当に大変なところですよ。
もうひと踏ん張り!

登場人物は描けましたか?

小玉

書きましたよ!
主人公のAに、その友人のB、それとCさん

遠山

それじゃあ、Bさんの年齢は?職業は?

小玉

いやー、そこまで細かい設定はないですね。
細かく設定した方がいいのでしょうか?

遠山

むしろ、細かい設定が大事なんじゃないのかな。
とはいえ、ここから先は専門的な話だしそれこそ、プロの話を聞いたほうが参考になるだろうなー。

そうだ!
受賞者で、ストーリー作りに対して、異なった進め方をする2人がいるよ。
それぞれの話を聞いてみると、ヒントになるかもね。
ということで、最後も受賞者に登場いただこう(笑)

1人目

2016年グランプリ
渡部亮平さん

小玉

読んだ人を引きつけられるような、あらすじの書き方…是非教えてくださいっ!!

渡部

あらすじは、ストーリー全体の要約だと思っているのでストーリーの描き方、という目線でお話しますね。

僕はいつも、身近な人をモデルにしています。
処女作の『かしこい狗は、吠えずに笑う』でもそうですがモデルとなった人が身近にいて、今回もそうでした。

小玉

なるほど、身近な人をモデルにしてその人だったら?って考え方ですね。

渡部

そうです!なので、ストーリーを考えるというより想像する、という感覚に近いですね。

2人目

2015年準グランプリ「GREEN FUNDING賞」
加藤卓哉さん

小玉

今、映画の企画を作っていて、あらすじの書き方に困っているんですが加藤さん流の方法ってありますか?

加藤

『裏アカ』の場合、モデルはいないです。
僕がいろんな人から聞いた面白いなっていうエピソードをいろいろ盛り込んでいてそれが主人公を形成している感じですね。

小玉

モデルはいないんですね!
リアルな設定やストーリーだったんで、てっきりいるものだと思ってました。

それにしても、同じ受賞者でも、モデルのありなしは全然違うんですね。

加藤

モデルがいるいないの違いはありますが、共通点もありますよ。
私も、ストーリーを考えるのではなく、イメージするやり方です。
妄想している、とも言えるかもしれません(笑)

小玉

確かにそうですね、私も頑張ってみます!




小玉

書けたぞ~!
これも岩瀬君に見せてみよう…

小玉

この話どうかな?

岩瀬

あれだけ時間かけて詰めたテーマとあらすじのストーリーが全然つながってないじゃん!!
書き直せー!!!

小玉

く…すっかりプロデューサーみたいになってる…(笑)

CHECK POINT

① ログラインを元に、登場人物のイメージを膨らませよう
② ストーリーは無理やり考えるのではなく、登場人物の行動を想像・妄想してみよう

小玉の感想レポート

渡部さんからのアドバイス、「身近な人をモデルにする」ことで、なんだか登場人物が勝手に動き出して、物語を進められるようになりました。
加藤さんからのアドバイス「色んな人から聞いた面白いエピソード」を盛り込むことで、それが話の要素、展開の一つになるだけでなく、その時の場面に臨場感が出てきました。後に脚本を書いたりする時に、描写もうまくできそう!

STEP5 物語を膨らませてみよう

小玉

遠山さん、企画書が出来ましたー!
早速エントリーしたいと思います!!

遠山

おぉ、お疲れ様。
エントリー前にちょっと見せてよ。
(読んでみる)




遠山

よく頑張って書いてあるけどこれだと、企画の概要までしか伝わらないかもしれませんね

小玉

な、なんでですかっ!!
遠山さんからもらったフォーマットで作ったのに!!

遠山

そうですね。過去の最終選考まで進んだ企画書と比べると「もっと話を聞きたい」「映画で観てみたい」と思える材料が少ないかな。
具体的に言うと、本編のストーリーですね。
あらすじを書くときに、全体のストーリーは考えていない?

小玉

あらすじ用にメモは書いたんですが、ちゃんとしたストーリーまでは出来ていないですね。
それに何枚も文章を書いていくと、よくわからなくなってしまってうまくカタチにならないんです…。

遠山

それはもったいないですね。
ログラインやあらすじはもちろん大事ですが、最終審査まで残る作品はストーリーもしっかり描かれているので、比較すると、物足りなさを感じます。

小玉

なるほど!
ストーリーが伝わるように、企画書を書き直してみます!

遠山

企画書作りもここまできたら、あともうひと頑張りです。
イラストや写真を使ってストーリーを伝えることも1つの手段ですよ。

小玉

ありがとうございます!
がんばって企画書を作りきります!

CHECK POINT

① もうひと踏ん張りして、審査員を引き込めるストーリーを考えてみよう
② 頑張ったら、しっかりエントリーしよう!あなたのエントリーをお待ちしています!

小玉の感想レポート

映画は好きだけど、映画企画作りに関しては素人の私でも、何とか企画書の基礎を作ることができました。
これから何度も見直して内容をまとめていき、自分なりの企画書を完成させたいです!

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