PLANNING TIPS 企画作りのヒント 
TCP2019企画書フォーマットと映画プロデューサーインタビュー

TCPでは「企画部門」「監督部門」「脚本部門」の
3つの部門に分けて募集を行いますが、
それぞれの部門で共通している
応募書類は「企画書」です。

今回は応募用企画書フォーマットの項目解説と、
業界の第一線で活躍されている
映画プロデューサーの企画に関する
アドバイスをご紹介します。

映画企画を初めて書く方、
これから企画のアイディアを練る方、
是非、参考にしてみてください!

映画プロデューサーインタビュー

応募用企画書フォーマットについて

ここでは応募用企画書フォーマットの項目の解説や注意点を説明します。

自分のアイデアを企画書で正確に表現するためには、
各項目に記載する内容を正しく理解することはとても大切!

初めて映画の企画書を書くという方、必見です!

企画書1ページ目

タイトル

タイトルは映画の「顔」です。覚えやすくて、聞きなじみのある、内容を想像させるタイトルが成功への第一歩です。
未定の場合でも仮のタイトルを必ず記入してください。
審査期間中の変更はできませんが、受賞後は商業映画化に向けての企画開発段階であらためて検討していくことになります。

ログライン

企画した映画の内容を簡単に要約した、映画の核となる部分です。
重要事項なので、しっかりと考え抜くことが必要です。
ログラインは1行でまとめたものから、3~4行のものまで、様々な形がありますが、TCPの応募には400文字以内であれば自由に記載いただけます。

企画書4ページ目

企画のテーマ、意図、訴求ポイント

この企画を通して伝えたいこと(企画のテーマ)、
なぜそのテーマなのか?、作品を観る方々にどのような気持ちになってほしいか?(意図)、
作品の特徴、オリジナリティ、その他の強み(訴求ポイント)等、企画を通じて伝えたい思いを記入してください。

企画書5ページ目

登場人物表&キャストイメージ

物語の登場人物とその設定を記入してください。
書式は自由ですので、登場人物名や相関図など、企画書を読む人に伝わりやすいように工夫してください。

企画書6,7ページ目

あらすじ

物語の内容をログラインよりも詳細に記入してください。
企画書を読む人に、その企画の面白さが伝わらなければ、先に進むことができません。結末や物語のアイデアなど、出し惜しみせずに、その企画の面白さが十分に伝わるように、たっぷり考えて表現してください。

企画書8ページ目

イメージボード

イラストや写真など、文章だけでは伝えきれないビジュアルイメージや企画に関する補足事項を自由に表現し、画像化したものをこのページに貼り付けてください。

映画プロデューサーインタビュー

ここでは、映画の最前線で活躍する3名のプロデューサーに登場いただき、心が惹かれる企画などについてお話を伺いました。

もちろん、プロデューサーによって考え方は様々。
面白い企画に正解はありませんが、アイデアや着想のヒントになることがあるかもしれません。

これから企画を練るという方は是非、参考にしてみてください。

村上 公一  Koichi Murakami
株式会社ロボット プロデューサー

- 主な作品 -
『嘘を愛する女』(’18)※TCP2015グランプリ作品、『踊る大捜査線シリーズ』(’10、’12)、『曲がれ!スプーン』(’09)

心惹かれる企画とは?

観客のひとりとして映画を観るとき、心惹かれる作品に共通していることは、それがアクションであれ、スリラーであれ、SFであれ、ラブコメであれ「映画の中では描き切れなかったであろう、登場人物のその先の人生が想像できる」点です。
映画を観終わった後も、自分の脳内でその登場人物がどう生きているのかを想像するのが楽しいからだと思います。ですので仕事のときも、「ずっと気になってしょうがないくらい、登場人物が魅力的に描かれている」企画に心惹かれます。登場人物は、自分自身が共感できるか?が大切です。自分と意見が一致しなくても、絶対友達にはなれないな、と思っても構いません。

映画企画の見つけ方

映画企画を考える際は、風雪に耐えうる普遍性を持った物語かどうかを基準のひとつに考えます。と同時に「時代の空気感」を掴んでるかどうか、という現代性も考慮に入れます。
映画になりそうなアイディアがふと頭に浮かんだとしても、それがスクリーンに映し出されるのは今から2年後、ということもよくあります。封切るのはその日だけのことですが、作品は永遠に残ります。ちょっとだけ未来の世界に向けて、普遍的な物語をタイムリーな語り口で提示することができると、人々の共感を得られ、 その後も作品はずっと観続けられると思っています。とても難しい作業ですが。

企画書を書く上で心がけていること

ラブレターのつもりで書くことを意識しています。
ラブレターは相手に愛情を伝えるものですが、映画企画も同様に「愛情」を込めて書く。そうすることで初めて、企画に対する「熱意」を読み手に感じてもらえるのではと思っています。ただ、夜中に書いたラブレターは次の日見返してみると、とても恥ずかしい内容になっていますよね(笑)
企画書も同じで、少し時間をおいて、書いた時と違う視点で読み返して、何度も何度も書き直します。

TCPへ応募を考えている方へのメッセージ

「こんな映画を観てみたいんだけど、世の中に存在しないんだよな」という思いを企画という形にしてご応募ください。
映画業界とは全然関係ないところで生活している方だからこその発想やイマジネーションを駆使して、我々の常識を飛び越えてくる魅力的な企画を楽しみにしています。

浅野 由香  Yuka Asano
カルチュア・エンタテインメント株式会社
映像企画部 プロデューサー

- 主な作品 -
『ルームロンダリング』(’18)※TCP2015準グランプリ作品、『ReLIFE リライフ』(’17)、『泣き虫ピエロの結婚式』(’16)

心惹かれる企画とは?

まず共感できる内容かということ。その上で、その映画を観に来るお客様の顔や観終わったあとの表情(観賞後感)がイメージできる企画に惹かれます。
観に来られる方は誰なのか?男性なのか?女性なのか?そして、その方々にとってどんなポイントが感情を揺さぶられるのか?ということが気になります。

映画企画の見つけ方

原作を選ぶにしてもオリジナルを考えるにしても、ある程度の読書量が必要だと思っているので、とにかく本や漫画を読むことでしょうか。そして、どこにアイディアが転がっているかは分からないので、本だけではなく、たくさんの人と出会ったり、映画やイベントに行ったり、エンタメに限らず、たくさんの経験をすることが大切だと思います。これは特に変わったことではありませんが、いろいろな経験の組み合わせから“企画の素”が産まれてくるように思います。

企画書を書く上で心がけていること

企画が、いざ映画化に向けて動き出すとなると、携わる方々はその企画に対して時間やお金を費やすだけでなく、人生までかかってくることもあります。
なので、そういったプロフェッショナルな方々に失礼のないように心がけています。
具体的には読み手にとって読みやすいものになっているか? 知りたい情報がちゃんと書かれているか?といった点を意識しています。
拝見する企画書の中には誤字であったり、文章としておかしなものも意外とありますので、完成したら内容の部分も含めて周りの人に確認してもらう事も大切です。

TCPへ応募を考えている方へのメッセージ

まずは応募しないと何も始まらないので、是非、最初の一歩を踏み出しましょう!
絶対にヒットする企画なんて誰にもわかりませんので、ご自分の「面白い!」と思える企画を信じて応募してみてください。お待ちしております!

星野 秀樹  Hideki Hoshino
株式会社ツインズジャパン プロデューサー

- 主な作品 -
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(’19)※TCP2016審査員特別賞作品、『スマホを落としただけなのに』(’18)、
『オーバー・フェンス』(’16)、『そこのみにて光輝く』(’14)

心惹かれる企画とは?

タイトルが良い企画(原作)です。
タイトルが良いとは、それだけで内容やターゲットなど、それがどういう映画なのかが想像でき興味がわくということです。
例えば、昨年公開した『スマホを落としただけなのに』(原作も同タイトル)はまさに、タイトルだけで時代感だったり、物語の展開だったりを想像させます。
タイトルの重要性は作品ごとの「狙い」によって変わりますが、TCPに応募する作品というのはまずは企画書だけで惹きつける必要があるので、特に大切だと思います。

映画企画の見つけ方

映画を企画する際は原作や企画のネタの「どんな主人公のどんなストーリーなのか」という部分が、これまで自分が良いと思った映画やヒットした映画とどう当てはまる部分があるか?共通する普遍性があるか?という視点で考えることが多いです。 普段映画を観る際も、良いと思った映画は何度も観たり、分析したりという姿勢も大切だと思います。

企画書を書く上で心がけていること

読む人を「いかに惹きつけられるか」が大切で、次のページを読みたいと思わせる企画書になるように心がけています。
なるべく短いセンテンスで伝えたり、構成も1ページ目からタイトルを書くのではなく、何か事件が起きてからメインタイトルが表示される映画脚本の構成のようにしたりして、ページをめくってもらえる工夫をしています。
また、企画書では物語の内容だけでなく、監督、キャストは誰なのかをしっかりと書くことも作品のテイストを伝えるために大切です。監督が未経験の場合でも、その人の経歴やバックグラウンドが分かればどんな映画ができるのか想像できる部分もあると思います。

TCPへ応募を考えている方へのメッセージ

受賞したら5,000万円以上の総製作費が出資されるコンペはそうそうないと思いますので、どんどんチャレンジして欲しいです。映画企画には「これ!」といった正解はないので、チャンスは誰にでもあると思います。
また、TCPは受賞すると、映像化に向けて応募者が何かしらの役割を担って、業界のプロの方々と仕事ができる可能性、チャンスがあります。
だからこそ、応募する企画書は人に読んでもらったりしながら何度も何度も推敲を重ねて、客観性をもったものにしてほしいです。

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